恐慌前夜

アメリカと心中する日本経済というサブタイトルで出された福島隆彦氏の新刊。サブプライムで焦げ付いたアメリカ経済の今後の動きと日本への影響をストレートな語り口でコメントしているとことが面白い。
リーマン破たんなどをズバリ的中しているところが本を読みながらひきつけられ、のめりこんでいく。
アメリカの住宅公社のファニーメイやフレディマックに対する公的資金の注入を政府は示唆した発言をしているが、５３０兆円もの損失を埋めるのは現実的にほぼ不可能だと断言している。どちらもGSEという半官半民のような会社だが、基本は民間。アメリカ政府にダマされてはいけないと。
また、モノラインといわれる大手ノンバンク系のサラ金会社も危ないとか。（大手４社：MBIA,AMBAC,FSA,FGIC)
さらには、日本ではというと、今回の米国住宅関連債権の保有していることが明るみに出ている大手として、農林中金、三菱UFJ、日本生命・・・・。農林中金はすでに破綻同然だが、注目すべきはあの三菱UFJも３．３兆円もの債権を保有しているとか。３．３兆とは半端な額ではない。三菱UFJも下手したら危ないと警告している。
海外に目を向けると、イギリスはすでに恐慌直前に陥りはじめているが、イタリア、ロシアなどはアメリカの債権を保有していないためビクともしないと。
現金はここ数年やばそうだ。そのうち、近いうちに、預金をおろそうとATMに行列ができる取り付け騒ぎも起きるのではないかと懸念する。では、今後はというと、ユーロと金に注目すべきという。
具体的数字と具体的会社名などズバズバと遠慮なくコメントしているところが、読者をひきつける。
まさにいまの政治経済をとらえるにはお勧めの１冊。
★★★★☆

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